平成22年度 関西学院大学学内法律討論会 論題


分野:民法

 1.(1)Aは甲地を所有しBは乙地を所有している。甲地と乙地は隣接しているものの、甲地は乙地よりも約2メートル高い所に位置していた。このような状況のもとで、ある日、台風による暴風雨およびそのために甲地の地盤が緩んだこともあり、甲地の庭にあった石灯籠と松の木が倒れ、乙地の庭に落ちてしまった。この場合におけるAB間の法律関係を論じなさい。
 (2) (1)において、石灯籠と松の木が落ちた原因が、甲の庭の工事のため、工事中の庭に、設置および植栽予定で運び込まれた石灯籠および松の管理状態について甲に帰責事由があったことにある場合はどうか。

 2.香川県高松市在住のCは、ある朝起きて、自宅の敷地内の空き地部分に、所有者不明のバックホー3台(以下、本件建設機械という)が放置されているのに気づいた。その日の夕方から翌朝にかけて、関西近辺で建設機械が相次いで盗まれる事件が、新聞およびニュースで報じられるに及んで、本件機械の所有者が大阪市在住のDであることが判明した。この場合におけるCD間の法律関係を論じなさい。

 なお、上記の問題を検討するにあたっては、それぞれの権利(請求権)の内容を、その根拠とともに具体的に細かく明らかにする(例えば、行為であればその具体的な内容など)よう留意されたい。

出題者:関西学院大学法学部教授 原田 剛