平成21年度 一回生法律討論会 論題


論題 <刑法>

 Xは、顔見知りのA女と口論となり、Aから呼び出されたことから、Aの連れの男達と喧嘩になると予想して、実兄のBらに加勢を求めたうえ、呼び出された場所に赴き、付近の舗道上において、B及び友人4名とともに、Aが加勢を求めたCら10名の男女らと対峙した。その際Xは、Cらから木刀等で攻撃を加えられたことで、自らは付近に停車させていた普通乗用自動車の運転席に逃げ込んだものの、同車後方の様子から、その付近でBがCから危害を加えられているものと考え、とっさに、Bを助けるため、Cに対して、同車を同人に向けて急後退させる暴行を加えて同人を追い払おうと決意し、直ちに同車を運転し、Cらのいる交差点横断歩道方向をめがけ、左にハンドルを切って同車を約15メートル急後退させた。このときXは、時速10km程度出したつもりであったが長年運転していなかったため感覚が鈍っており実際には時速30km程度出していた。その結果、同車左後部をCの右手に衝突させるとともに、Bに同車後部を衝突させて同車で轢過し、Bに肝臓挫滅等の傷害を負わせ、Bはそれに起因する出血性ショックにより死亡した。
 Xの罪責を論ぜよ(なお、特別法違反の点を除く)。

出題 同志社大学法学部4回生 中川井掘